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春先に注意したい眼の怪我

[2022.04.08]

街のあちこちでは美しい桜が咲き乱れ、待ちこがれた春が到来しました。まだまだ新型コロナウイルスも油断できない推移をみせていますが、気温がぐんぐんと上昇しておでかけが楽しみとなる季節です。新社会人や新入生たちにとっても期待を胸に新しい生活が始まる春――しかし春は実は眼の怪我が増える注意すべき季節でもあります。眼に負った怪我は治療のタイミングが遅れてしまうと、視力障害などさまざまな問題へと進行しやすい危険があります。怪我には十分注意して、安全にお過ごしいただけたらと思います。

特にスポーツにおける眼の怪我が急増します

クラブ活動などで起きやすい眼の怪我

春先に大会や試合が行われる競技は大変多く、それに伴って練習量も多くなります。冬の間と比べると体も大きく動かしやすくなるために怪我をしやすい環境となります。さらには経験の浅い新入部員たちの参加など、思いがけない事故にも見舞われやすくなるため注意が必要です。

種目別では野球による怪我が圧倒的に多くみられます

スポーツにはさまざまな競技がありますが、種目別に分類すると野球による眼の怪我が非常に多くみられます。強い打球を直接眼に受けてしまったり、スライディングの際の土埃で起きる感染症などトラブルの種類も多岐に渡ります。野球による怪我が特徴的なのは重篤な事態に発展する危険性が高いという点です。ボールの硬さや打球スピードの速さがその大きな要因として挙げられます。

野球で起こりやすい眼の怪我(一例)
眼球の打撲

強い打球が眼を直撃した際には眼球が圧縮され、その衝撃により網膜や視神経などといった箇所に損傷が起きることがあります。

虹彩炎

光を調節する虹彩と呼ばれる部分が損傷すると涙が止まらなくなったり、充血や目のかすみ、うずくような激しい痛みを生じます。

角膜びらん

角膜部分が損傷を受けたり感染症が起きると、角膜の表面上皮がめくれてしまうことがあります。痛みや充血、目やにや濁りが生じることがあり、重症の際には視力低下を招く危険があります。

網膜裂孔・網膜剥離

私たちがものを見る際には網膜と呼ばれる部分に像を映し出します。網膜部分に強い衝撃が加わると裂けたり剥がれ落ちたりすることがあります。視界が欠けて見えるようになったり、閃光が見えるなど急激な見え方の変化が起こり、重症の場合には視力低下を招きます。時間の経過とともに失明の危険性が高まります。

眼窩底骨折

眼球を取り囲むようにある骨部分に損傷が起きると眼球の動きが阻害され、さらには視神経を守る部分に異常をきたすと失明の危険性が高まります

怪我をしたらすみやかに診察にお越しください

眼に怪我をされた場合にはすみやかに診察にお越しください。実は怪我をされてすぐに診察室にお越しいただける方はとても少ないです。例えば、午前中に怪我をされたのにもかかわらず、実際に診察にお越しいただくのは練習をすべて終えてからの夜遅くといった方も実際の診療現場では多く見受けられます。眼の怪我は時間の経過とともに最悪の場合、失明に至る危険があります。怪我をされたご本人はもちろんのこと、指導をされるコーチや先生方におかれましてもすみやかな対応を強くお願いいたします。

勤務中や作業中に起きる眼の怪我についても十分ご注意ください

勤務中に起きる眼の怪我も春先には要注意となります。気温が上昇し始めると、眼を守る保護メガネの内部が曇りやすくなります。冬場は正しく保護メガネをつけて作業をされていたような方も、曇りを防ぐためについ外してしまう時間が多くなります。金属加工をされる方や保護メガネを必要とする危険な作業を伴うお仕事に就かれている方におかれましても、春先は特に注意が必要です。

思わぬ眼の事故にご注意を―

春は生活パターンが大きく変化する時期となります。それに伴い、怪我が起きるリスクも上昇します。当院においても春になると眼に思わぬ怪我をされて慌ててお越しになられる患者さんが増える傾向にあります。眼の怪我にはくれぐれもご注意いただき、もしもの場合には一刻も早く診察にお越しください。

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