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色覚異常について

小学校入学前、就職試験前、進路決定前などに是非当院で色覚検査を受けて頂くことをお薦めいたします。

色覚異常とは、色の違いがわかりづらい病気です。先天性である場合と緑内障などの病気に伴って起きる後天性のものとがありますが、今回は主に先天的な色覚異常についてご説明いたします。

生まれつきである場合、ご本人は「見えづらい」という感覚がありません

色覚異常が先天性であった場合、その症状は生まれつきであるがゆえに、ご本人にとっては特別「見えにくい」という実感がありません。そのため、色や細かな形状が見分けづらいことで起きる不都合や直接的な身の危険がある場合には、ご自身で適切な対処法を講じたり、周りの方のサポートや理解を深めることがとても重要となります。

色覚異常は軽度なものまで含めると10人に1人ほどのごく身近な病気です

どんな病気も重度なものから軽度なものまで症状の程度はさまざまあります。色覚異常も同様に、日常生活にほとんど差し障りのない軽度のものまで含めると、その割合は10人に1人というほど非常に身近なものとなりま

色覚異常が遺伝性の疾患であることを裏づけることになったピンゲラップ島の事例

一般的に色覚異常は赤と緑の区別がつきにくいケースが多いですが、3万人に1人といった割合でどの色も全く識別することができない方(1色覚)がいらっしゃいます。この色覚異常の遺伝メカニズムを解明する上で、遺伝学者たちが注目したのはミクロネシアに浮かぶ小さな島ピンゲラップ島で起きた事例です。ピンゲラップ島では現在10人に1人という非常に高確率でこの1色覚の方が存在しています。もともとは多くの人々でにぎわいをみせるピンゲラップ島でしたが、約300年ほど前に大規模な台風の襲来によりその島のほとんどの方が命を落としてしまうという想像を絶するような悲劇にみまわれました。生き残ることができた島民はたった20人ほど。限られた血縁関係の中で世代を形成していく中、本来であれば低い確率で出現すべき遺伝的疾患の数値が上昇してしまうこととなり、現在のように10人に1人が生まれつきの疾患として1色覚を患う状態となっています。

 

色覚検査は小学校入学までのタイミングにぜひ一度お受けください

色覚異常を見つけ出すには色覚検査が必要となります。かつては学校の健康診断にてこの色覚検査を行うことは一般的なことでした。しかし、近年の文部科学省の方針により検査を取りやめとする地域が増えてきました。繰り返しになりますが、先天性の色覚異常はご本人だけで異常に気づくことは大変難しいことです。いざ本格的に学習を始めなければならない年齢に達してからや、進路や就職など将来を決める大事な岐路に立たされてから初めて自分の特性に気づかされ、結果的にさまざまな制約を強いられてしまうといったケースも少なくありません。ぜひ小学校入学前のタイミングで、一度眼科にて詳細な検査を受けることをおすすめします。

学校生活で不自由を感じてしまう事例

  • 黒板(緑)に書かれた色チョーク(赤)の文字が見えづらい
  • 掲示物の文字を判別しづらい
  • 化学実験や薬品等の色の識別が難しい
  • 気象条件や光の加減により登下校中の信号機の色の判別が難しい など

就職において制限が設けられている職業例

  • 点灯ランプ等の細かな色の違いによって直接的に操作や作業に影響が出てしまうような職業
  • パイロット、電車の運転士、航海士、自衛官など

 

現在有効な治療法はありません

治療法については現在特に有効なものはありません。そのため早期にご自身の特性について正しく理解を深めることが何よりも重要となります。色の違いを判別できないことですでに何らかのお困り事があるならば、学校の先生や職場の方々にも相談してより良いサポート体制を構築する環境作りがあわせて必要となることでしょう。小さなお子さんほど親御さんのほうが心を痛められて気に病まれる方も多いです。色覚異常はぜひその子の個性のひとつとして前向きに受け止めていただき、この病と末永く向きあっていただきたいと思います。

 

まずは早期に検査で見つけ出すこと―

ご自身の個性のひとつとして正しく理解を深めて

色覚異常は色が判別しづらい病気であり、決してものが見えないということではありません。もちろん、信号機の色が判別しづらいといった重度な症状がみられる場合には、ご自身の命を守ることを最優先に対策を講じる必要があります。しかし多くの場合は、日常生活を送る上で深刻な不自由を感じられている方は一般的に少ないとされています。その他、誤認しやすいシチュエーションがあると事前にわかっている場合には、まずはご自身の特性を十分理解した上でそれに対する適切な対処法を知ることが有効です。決して必要以上に気に病むような病気ではありませんので、ぜひ前向きにご自身の特性に対して理解を深めていただけたらと思います。

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