小児の近視予防について
全世界的に小児の近視患者数は増加の一途を辿っています。先進国においては特にその傾向が顕著で、日本でも同様に近年問題視されています。お子さんが活発に勉強や運動を行う上で、眼から得られる情報というのはとても重要な役割を果たしています。また、思考力や創造力、豊かな感性や社会性を育てる上でも多大なる影響をもたらします。大切なお子さんの健やかな未来をこれからも守り続けるために、小児の近視予防についてぜひ保護者のみなさんにも広く知っていただきたいと思います。
ものが見えるメカニズムにズレが生じ始めている子供たち
実は人間はみな、生まれたて頃は誰でも遠視です。体も眼球も小さく未熟な赤ちゃんはものを正しく見るために、網膜の後ろのほうに光を集めて像を映し出すといういわゆる遠視の仕組みを利用しています。それから徐々に体が大きくなるにつれ、眼球の像を映し出す構造も徐々に正しい位置(正視)へと修正されてゆくのが一般的な成長の流れです。しかし昨今では、さらに行き過ぎた近視の領域にまでずれ込み、ものが見えるようになってしまった子供たちが急増しています。特に小学校入学を控えた頃の年代の子供たちに多くみられます。
眼が酷使される環境にさらなる拍車がかかる現代
近視が進む要因のひとつには、幼少期に比べて本や教科書などの小さな文字に積極的に触れる機会が増えることや手元での細かな作業を長く行えるようになることが挙げられますが、それに加えて近年ではゲームやスマホなどの画面を長時間にわたって視聴する時間が増えています。さらには昨今の新型コロナウイルスの影響も重なり、室内で過ごす時間が大幅に増えたこともこの悪循環にさらなる拍車をかけています。パソコン画面を通じたオンライン授業も一般化されつつある現在では、今まで以上に子供たちの眼が酷使される環境となっています。
近視は将来的な眼の疾患を引き起こす可能性を高めます
最新の研究によると、子供の近視は将来的なさまざまな眼の疾患の発生頻度をさらに高める危険があることがわかってきました。例えば緑内障や白内障、網膜剥離などといった病気がその代表例です。大人になってからも末永く眼の健康を保つために、子供の頃からの近視予防を図ることはとても重要な意味を持ちます。
お子さんの視力低下はさまざまな悪影響をもたらします
ものが見えづらい状況が続くということは想像以上のストレスです。特に成長期の多感な時期を迎えるお子さんたちにはさまざまな悪影響を与えます。
- 集中力が続かない
- 疲れやすい
- 黒板が見えづらいことで勉強に興味が持てない
などといったお悩みには実は眼の問題が隠されているかもしれません。
また、
- テレビや興味のあるものに極端に近づいて見る
- 目を細めてものを見るようになった
- よく転んだりものにぶつかったりする
- あごを上げて前を見る姿勢になる
などといった異変は視力低下のサインでもあります。早期に異変に気づき、適切な治療を開始することが何より大切です。
当院ではさまざまな年代のお子さんに対応した検査機器を導入いたしております
当院では成長著しいさまざまな年代のお子さんの眼に対応した各種専門検査機器をご用意いたしております。近視や遠視の診断をはじめ、乱視や光の屈折度合いまで眼に関する詳細なデータを分析することができます。すでに何か気になる症状をお感じの場合だけでなく、定期的な眼の健康状態の確認においても広くご活用いただければと思います。お子さんの眼に何らかの異常が見つかった際には早期に治療を開始いたします。当院では進行を最大限遅らせるためのさまざまな対策をあわせてご提案させていただいておりますのでお気軽にご相談ください。当院の視力検査機器は新生児からご利用いただけます。
医師による定期的な確認を加えながらの適切な治療をお受けください
お子さんの眼は大人以上にデリケートで複雑です。例えば、現在の視力にぴったり過ぎるメガネやコンタクトレンズをあてはめてしまうと逆に悪化してしまうケースもあります。また、視力低下が何らかの拍子に急激に進んでしまうこともあります。定期的な検査を加えながら、医師による正しい診断と適切な治療をお受けいただくことが重要となります。
子供たちの健やかな成長を守るために、早期に異常に気づける体制づくりを―
かつての子供たちは、学校で勉学に励んだ放課後に何時間も外を元気に走り回って遊ぶような生活をしていました。それにより自然と遠くの景色を見る時間が設けられ、酷使された眼を適度に休ませることができていました。屋内に比べると屋外(直射日光は除く)は明るい光にあふれ、眼にとっても優しい環境です。小さなお子さんほど眼の疲れや不調に気づくことはなかなかできません。そばにいらっしゃる保護者による注意深い見守りがあわせて必要となります。お子さんの普段の様子を見て違和感や不安に感じられることがある場合には、ぜひ一度当院までご相談いただければと思います。