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プールでの感染予防について

[2021.06.11]

まもなく梅雨が到来します。学校では子供たちのプールでの楽しそうな姿を見かける時期にもなります。去年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、地域によっては今年も残念ながら水泳指導は中止という判断をされる学校も多いと聞いています。その一方で、プール授業が再開される学校にお通いの場合にも、不安なお気持ちを抱えられている親御さんは多いことでしょう。今回は学校プールと感染症についてのお話をさせていただきます。

どんな場面においても「三密」を避けることが鉄則

感染症予防に最も効果的なことは、メディアでも繰り返し伝えられているように「密閉」「密集」「密接」となるシチュエーションを避ける行動が基本となります。
例えば、

お互いに十分な距離を確保することを意識する

厚生労働省からの通達をもとに、学校現場でも生徒間の距離は2m以上は空けるようにという指示が出ています。しかしスペースの限られたプール内やプールサイドでは実際には難しい場面もあることでしょう。引き続き、おしゃべりを控えるなどといった基本に立ち返り、感染予防対策を徹底することが大切です。

密な環境となりやすい更衣室の利用には注意して

プール授業の際には男女ともに更衣室を設ける学校が多いです。更衣室はその性質上、密閉空間になりやすく、お互い距離を取るにも難しい環境となります。室内の換気には十分留意し、マスクを外す際には大声や不要な会話はできるだけ控えるように注意しましょう。

タオルやゴーグルなどの取り間違いや貸し借りは絶対にしないこと

学校用品は指定のものが多く、自分のものを友達のものと取り間違えることはよくあることです。タオルやゴーグルなどは特にウイルスが付着しやすいです。貸し借りなどは絶対にしないようにご家庭でもお話しいただくとよいでしょう。

基本的に水中感染のリスクは低いとされています

学校環境衛生基準(平成21年文部科学省告示第60号)では、プール水の有利残留塩素度濃度が適切に管理されている場合には、基本的にウイルスの水中感染のリスクは低いとされています。警戒すべきはやはり直接的な接触や飛沫によるウイルス感染の危険です。プールではマスクをつけることはできません。子供たちにとってはかわいそうな状況が続きますが、プール授業においてはなおさら会話や歓声を控える努力が求められることとなります。

夏場はプール熱(咽頭結膜熱)の感染が急増するため警戒が必要です

新型コロナウイルス感染症だけでなく、夏場に流行しやすいのはアデノウイルスによって引き起こされるプール熱です。正式名を咽頭結膜熱と言いますが、夏に罹患される方が多いため通称「プール熱」と呼ばれています。しかしながら先に述べた通り、プール水の有利残留塩素度濃度が適切に管理されている環境であれば基本的に水中感染の可能性は低いとされています。しかし、水に濡れた眼や口を頻繁に手でこすったりする動作を介してウイルスを直接体内に取り込んでしまう危険性は高まります。プール熱は小さなお子さんだけでなく、大人に対しても季節問わず発生しやすい病気です。アデノウイルスの感染力は非常に強力で、やっかいなことに種類も豊富です。それにより一度プール熱にかかっても、また別の型に感染する患者さんも珍しくありません。急激な発熱や咽頭部(喉の奥)の痛み、目やにや充血を伴う症状がみられます。小さなお子さんほど重症化しやすく、最悪の場合には視覚障害にもつながる危険があるため、眼に異常を感じられたら早期に診察にお越しください。プール熱について詳しくはこちら

体調不良の際にはプール授業は見合わせを―

当たり前のことではありますが、体調が思わしくないときには無理をしてプール授業に参加してはいけません。体力が低下しているとウイルスに対する免疫力や抵抗力が弱まり、ウイルスを取り込みやすい状態となります。水泳は特に水の負荷がかかった状態での全身運動となるため激しく体力を消耗します。プール授業には万全の体調で臨めるよう健康管理には十分お気をつけください。

プール熱(咽頭結膜熱)などのウイルス感染による眼の異常が疑われる場合には早期に診察にお越しください

夏場に流行しやすい感染症の中でも「プール熱」は特に眼に特有の症状が現れやすい病気です。異常を感じたら早期に診察にお越しください。ウイルスによる感染症をやみくもに恐れるのではなく、まずは正しい知識と理解を持って行動することが大切です。予防のためには引き続き直接的な接触や飛沫感染を防ぎながら、基本の「三密」を防ぐ徹底した取り組みが大切です。手指消毒や換気など、お互いにできることを見つけながら協力しあう姿勢がこれからも求められます。

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