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白杖を持つ方への理解と協力を

[2022.06.07]

眼の不自由な方の安心安全な日常を守るため、正しい理解と見守りを―

駅や街などで、白い棒をつきながら慎重に歩く方に出会ったことはありませんか?「白杖」と呼ばれるその杖は、視覚に重い障害をお持ちになられている方が使用される大切な道具です。白杖を前に突き出しながら進むことでその先に危険な障害物がないか、周りの情報を瞬時に得ることや、衝突や転倒などといった事故を未然に防ぐ目的で用いられています。

駅のホームや横断歩道はいつも危険と隣り合わせ

視覚に障害をお持ちの方が得られる情報量は当然のことながら圧倒的に少なく、想像もできないほどの不安と恐怖の中での行動を余儀なくされています。特に駅のホームや道路を横断される際などは命に関わる重大な事故に巻き込まれやすいという現実があります。

駅のホームで起こりやすい事故

駅のホームには点字ブロックが多く敷かれています。点字ブロックには線状の誘導(進め)を示すものと点状の警告(止まれ)を表す2種類があります。点字ブロックを頼りに歩いていても無意識に斜めに歩いてしまったり、人やベンチなど障害物を避けながら歩いたために方向感覚を失ってつい線路側に踏み外してしまうなどといった事故が多くみられます。

道路で起こりやすい事故

横断歩道は駅のホームと並び、日常生活において最も危険な場所のひとつとなります。騒音の激しい場所やラッシュ時などは周りからの情報が得られにくく、段差やデコボコの多い道や道幅の狭い場所を進む際には車との接触事故に巻き込まれる危険が高くなります。歩道においても通行人や自転車などと接触して白杖が折れてしまう事故や、最近ではエンジン音の静かな電気自動車やハイブリッド車が増えたことで車の接近に気づきにくくなったという話もよく聞かれます。白杖の携行は道路交通法においても定められています。車を運転する側は白杖を持って歩く方を見かけた際には、一時停止や徐行など格段の安全への配慮が必要となります。また、歩道や点字ブロックの上に駐車することは衝突や転倒の大きな原因になります。

危険な行動や緊急時には迷わず勇気を持った行動を

ホームの端で線路側に向かって歩く様子など、今すぐ生命に関わる重大な事故につながる危険な行動がみられた際や緊急時には勇気を出して声をかけたり、腕や肩などをつかんででも止めてあげてください。声をかける際にはその方に伝わる言い方が重要です。例えば「そこの盲導犬を連れている方」や「白杖を持っている方」など、その方だということが本人にも明確に伝わるような表現が必要となります。また、「下がって!」という指示よりも「止まって!」といったほうがわかりやすいです。

困っている様子が見られる場合には積極的なサポートを―

駅や街で白杖をお持ちの方がお困りになられている様子があれば、ぜひあたたかな声かけと見守りをお願いしたいと思います。むやみに声をかけたり不必要に行き先を聞いたり、突然体に触るようなことは決してしてはいけませんが、白杖を頭から50cmほど上に掲げる動きは「白杖SOSシグナル」と呼ばれており、まさに“困っています”という意思表示です。例えば落とし物をしてしまったり、どうしたらいいかわからなくなり周りの方に助けを求めたいと思った際に表現される行動として知られています。白杖を真っ直ぐ掲げて立ちすくまれている様子がある場合には、「どうされましたか?」「何かお手伝いしましょうか?」などとあたたかな声かけとサポートをぜひ皆さんにお願いしたいと思います。

誰もが安心して暮らせる毎日を作るために

つい先日も白杖を持つ全盲の女性が誤って踏切で特急列車にはねられてしまうという大変痛ましい事故がありました。一人一人の方が周りを気遣い、心を配ったあたたかな思いで助けあうことができれば命に関わる重大な事故を防げる可能性がもっと広がります。白杖を使用されている方はなにも全盲の方ばかりではなく、強い光によって前が見えづらくなってしまう症状のある方や、夜盲など暗い空間になると一人で歩くことが困難になられてしまう方などさまざまなご事情を抱えられている方がいます。天候によっても状態が左右されてしまうことすらあります。ぜひ多くの方に視覚障害についての情報を正しく知っていただき、あたたかな見守りとサポートをお願いしたいと思います。

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