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花粉症と食物アレルギー

[2022.03.07]

3月に入り、春を感じる温かな日が増えてきました。一方で、スギやヒノキなど花粉症にお悩みの方にとってはまさに本格的な飛散シーズンの到来です。当院にも花粉症によるかゆみなどで眼にトラブルを抱えられた患者さんが大勢お越しになられています。花粉症はその名の通り、植物の花粉がさまざまなアレルギー症状を引き起こすやっかいな病気ですが、最近注目されるもののひとつに「花粉症食物アレルギー症候群」というものがあります。花粉症と食物アレルギーは実は密接に関係していることが近年の研究により明らかになってきました。

花粉症と食物アレルギーとの深い関係性

野菜や果物など食物アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)と花粉症を引き起こすアレルゲンとは実は非常によく似た構造をしています。そのため花粉症にお悩みの方はその原因となっている花粉の種類によって、同様にアレルギー症状に注意したい食べ物があります。「花粉症食物アレルギー症候群」と呼ばれるものであり、その代表例として以下のようなものが挙げられます。

  • スギやヒノキに対するアレルギーがある方
    トマト
  • ハンノキやシラカンバに対するアレルギーがある方
    リンゴ・もも・さくらんぼ・アーモンド・豆乳・マンゴー・イチゴ・メロン・じゃがいも・ヘーゼルナッツなど
  • ブタクサに対するアレルギーがある方
    メロン・スイカ・きゅうり・バナナなど
  • ヨモギに対するアレルギーがある方
    セロリ・ニンジン・香辛料(クミン・コリアンダーなど)・マンゴー・ピスタチオなど
  • カモガヤなどのイネ科植物に対するアレルギーがある方
    トマト・メロン・スイカ・じゃがいも・キウイ・オレンジ・ピーナッツなど

花粉症食物アレルギー症候群による特徴的な症状

花粉症食物アレルギー症候群では、特定の野菜や果物を食べた際に以下のような症状が現れることが多いとされています。

  • 口周りや唇のかゆみ
  • 唇の腫れ
  • のどの奥のかゆみ
  • 舌など口腔内がイガイガする
  • のどの奥が詰まったような感じがする

などといった特に口腔内に生じるアレルギー症状が特徴的です。いずれも食後しばらくすると自然に軽快してゆくことがほとんどですが、症状の出方が激しい場合にはアナフィラキシーショックが起きる可能性も十分に考えられるため注意が必要となります。

花粉症食物アレルギー症候群の治療について

現在のところ根本的な治療は難しいと考えられています。一般的に食物アレルギーについては安全のためその食品の摂取自体を避けることが大原則となっており、花粉症食物アレルギー症候群についても同様のことが言えます。アレルギー症状が最も強く出やすいのは、その食品を生の状態で摂取する際となります。加熱などの処理を加えると比較的症状が緩和されることも多いですが、危険を最小限に抑えるためには摂取しないことが大切であり、その方の症状に応じた適切な対策が求められます。

症状を正しく緩和することができれば、全体的なアレルギー症状の抑え込みも期待されます

例えば、花粉症による眼のかゆみなどは多くの方に現れやすいアレルギー症状のひとつです。目薬や飲み薬などを用いて花粉症によるアレルギー症状をある程度軽減することができれば、食物アレルギーによって起きる口周りの症状なども同時に抑え込むことが可能となります。症状がひどくならないうちの早い時期から適切な対策を行っておくことで、さらに症状の出方を最小限に抑え込むことが期待されます。

アレルギー症状が疑われる場合には、まずは正しい理解と早期の適切な対策が求められます

アレルギーとは人の免疫反応によって起きる症状です。アレルギーにまつわる疾患も非常に多岐に渡り複雑です。まずはその原因となっているものを明らかにすることが、具体的な症状を改善するための第一歩となります。特に食べ物に関するアレルギーなどは、重篤な場合には血圧低下や意識障害を起こすほどのアナフィラキシーショックにつながる危険があります。ご自身の体にあわないものが見つかったならば、それを極力避けた生活を心がけることが必要となりますし、症状の現れと今後ともうまくつきあっていかなければならない場合には最小限に抑える工夫を図ることが求められます。花粉症などは時期的な問題も大きいため、症状が激しく出る前のタイミングで適切な対策を講じることで比較的症状を和らげることができます。アレルギーに対しては常に正しい理解を持ち、異変を感じたらできるだけ早くご相談にお越しいただくことをおすすめしています。

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