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ウインタースポーツや雪山登山で起きやすい眼のトラブルにご注意を!

[2022.01.14]

もうすぐ冬のオリンピックが開幕します。これからの日本勢の活躍を思うと大いに胸が高鳴りますが、競技に挑むアスリートたちのみならず、一般の皆さんにとってもウインタースポーツ時に起きる眼のトラブルはとても身近な問題です。特に真っ白な雪に反射して起きる強い光はデリケートな眼にとって大きな脅威となりえます。スキーやスノーボードをはじめ、雪山登山などを楽しまれる方は特に眼にも万全の紫外線対策を図りながら安全にお過ごしいただければと思います。

雪面に反射する紫外線は非常に強く、眼の角膜を傷める危険があります

一面の真っ白な雪に覆われたゲレンデに長くいると、眼に痛みや違和感を生じた経験はありませんか?俗に「眼雪炎」や「雪眼(ゆきめ)」と呼ばれることもありますが、正式名は「電気性眼炎」と呼ばれる疾患の症状のひとつとなります。長時間にわたって眼が強い紫外線に晒されると、角膜の表層部分がダメージを受けやすくなり、痛みや充血などの異常が現れるようになります。溶接作業時の激しい火花や殺菌灯などの人工的に作られた強い紫外線を長時間眼に浴び続けた状況と同様であるため、診療現場においては「電気性眼炎」という名称で呼ばれます。

電気性眼炎(眼雪炎・雪眼)によって引き起こされるさまざまな症状

  • 眼の充血
  • 眼の中の異物感
  • 涙が出る
  • 眼がかすむ 
  • 眼が痛くて開けていられない
  • 眼が痛くて眠れない
  • 光を異様にまぶしく感じる など

角膜の仕組み

いわゆる黒目の部分にある透明な膜が角膜です。角膜はもともと外の光を取り込む機能を持つ場所であるため、通常、紫外線はある程度角膜部で吸収されて取り込まれる仕組みとなっています。しかし雪山などの特異な環境下では、角膜部で処理できる量をはるかに超えた紫外線が降り注いでいるため、角膜の表層部は紫外線によるやけどが起きたような状態になってしまいます。角膜がダメージを受け続けるとやがて眼の細胞が破壊され、白内障など深刻な事態に発展してゆく危険があります。

屋外での活動は紫外線に対する正しい知識を持って対策を―

電気性眼炎(眼雪炎・雪眼)を防ぐためには、UVカット機能のあるゴーグルやサングラスの使用などが有効となります。特にすっぽりと眼の周りを深く覆うゴーグルは、スキーやスノーボードなど激しい動きにもズレにくくおすすめです。サングラスは遮光性の高いもので紫外線をしっかりと遮断できるものをお選びください。

電気性眼炎は受傷して異常を感じ始めるまでに数時間のズレがあるため注意が必要です

電気性眼炎の特徴のひとつに、眼にダメージを受けてからご自身が実際に異常を感じ始めるまでに数時間のタイムラグがあることが挙げられます。例えば、雪山から自宅に戻られた頃に眼の異常を訴えられる患者さんが多くみられます。眼科にて適切な処置や検査を加え、必要に応じて鎮痛薬などを内服すれば数日で快方に向かわれるケースが多いですが、重症の場合には二次感染を引き起こす危険もあるため注意が必要です。

眼に何らかの異常を感じた場合にはすみやかに診察にお越しください

実際に診察をお受けいただくまでの時間の経過とともに炎症は眼全体へと広がりやすくなります。状態のさらなる悪化を防ぐためにも、眼に何らかの異常を感じたらすみやかに眼科にお越しいただき、適切な治療や専門的な検査をお受けいただく必要があります。また電気性眼炎は繰り返すほどに視力の低下や最悪の場合には失明に至る危険もある怖い病気です。電気性眼炎が疑われる場合には、眼は絶対にこすらず、応急処置としては保冷材などで瞼を冷やすなどの工夫を行いながら早期にご受診ください。

冬の強い紫外線から眼を正しく守り、安心・安全な楽しい思い出作りを―

コロナ禍となり、密を避けるためにアウトドアや屋外の活動に積極的に出かける機会が増えています。特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、ウインタースポーツ人気も高まりをみせています。屋外で過ごす時間が多くなるということは、すなわち紫外線に晒される危険な時間も増えるということ――眼は替えの効かない大切な部位のひとつです。肌を守ることと同様に、眼を守る工夫についてもぜひ意識高く取り組んでいただきたいと思います。雪山にお出かけされる際には、ぜひUVカット仕様のメガネやゴーグルもお忘れなくご準備いただき、今しか味わうことのできない思い出作りをぜひ存分に楽しんでいただけたらと思います。

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