メニュー

夏に流行しやすい結膜炎

[2023.07.19]

今年の夏は例年以上の酷暑が予想されています。ここ京都においても、すでに7月時点で熱中症警戒アラートが発令される日も出ているほどです。全国各地でこれから暑さが本番を迎えていく中で、涼を求めて大人も子供も海やプールなどで水遊びに親しまれる機会が多くなることでしょう。しかし、眼のトラブルに多い結膜炎も例年、夏に大きなピークを迎えることをご存じでしょうか?特に流行しやすいアデノウイルスにくれぐれもご注意いただき、健康で安全な夏休みをどうぞお過ごしください。

例年夏に患者数が増加する咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は別名「プール熱」とも呼ばれており、その名の通り、水を介して感染を広げやすいという特性を持ちます。水遊びに親しまれる機会の多い夏場に流行しやすい病気のひとつとして、特に小さなお子さんたちには警戒が必要となります。原因はアデノウイルスと呼ばれるウイルスで、代表的な症状としては、のどの痛み(咽頭炎)や発熱、頭痛などに加え、充血など眼にまつわるさまざまな症状が現れることが特徴的な病気です。

感染力の強いアデノウイルスにご注意を!

咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こすアデノウイルスは感染力が非常に強く、飛沫感染や接触感染などで直接的に感染を広げることはもちろんのこと、水中や同じタオルを共有するなどした状況から眼の結膜を通じてウイルスが侵入し感染を引き起こすことがあります。小さなお子さんほど症状が比較的重くなりやすく、多様な症状を引き起こすために注意が必要です。症状がなくなった後も喉から1~2週間程度、排泄物からは1か月程度の長きに渡ってウイルスが排出されることがあるため注意が必要です。また、アデノウイルスには複数の種類が存在するため、一度咽頭結膜熱(プール熱)に感染したとしてもまた別の種類のアデノウイルスに感染することも多くあります。

特徴的にみられる眼の症状

結膜炎・白目やまぶたの裏側が赤く充血する・目の中がゴロゴロする
目やにが多くなる・涙が止まらない・まぶたが腫れる・光をまぶしく感じる など
実際の診療現場でも、いつもより目やにが多く出ることに異常を感じられて来院される方が多くみられます。ついつい眼を手でこすったり、違和感で眼に触れる回数が増えたりすることで周囲にさらなる感染を広げるリスクが高まります。

治療について

目やにや充血、結膜炎の症状改善には抗生剤やステロイドの点眼薬が有効となります。特に眼のかゆみを抑えたい場合には、抗ヒスタミン薬やステロイドの点眼薬が処方されます。

咽頭結膜熱(プール熱)は学校保健安全法に指定される疾患です

咽頭結膜熱(プール熱)は感染者の唾液や鼻水、目やになどから感染が広がりやすい病気です。その感染力の強さから、学校保健安全法において第二種感染症(インフルエンザ・麻疹・おたふくかぜなど)に分類される疾患となります。のどの痛みや高熱などの主要な症状が消えた後2日間は出席停止扱いとなります。そのため、感染が判明した場合には幼稚園や保育園、学校をお休みする必要があります。眼の症状に関して言えば、充血や目やにがなくなり、通常の様子に戻った頃が登園や登校できる目安と考えられます。

現在の研究では新型コロナウイルスによる眼の症状の重篤化はないと考えられています

新型コロナウイルスが発生して以降、世界中でウイルスに関するさまざまな研究が行われていますが、例えば、アデノウイルスに感染した人がさらに新型コロナウイルスに罹った場合、結膜炎が悪化したり、さらなる合併症が引き起こされたりするなどといった重篤化の懸念はないと現在では考えられています。

アデノウイルスは年中発生しやすい誰もが感染する可能性のある病気です
咽頭結膜熱(プール熱)はその名前から夏場の時期だけに特異的に発生するような病気のイメージを持たれがちですが、原因となるアデノウイルスは実は季節を問わず年中感染する可能性の高いウイルスとなります。また、小さなお子さんたちだけが罹りやすい病気でもなく、家庭内感染を主として大人の方も発症されるケースは実際の診療現場でもよくみられます。発熱や喉の痛みなど、咽頭結膜熱の症状は一般的な夏風邪やインフルエンザなどとも非常に似通っているため注意が必要です。特に眼に生じる異常は、小さなお子さんほど重症化する危険があります。早期に異常に気づき、適切な治療を受けることがとても重要となる病気です。異常を感じられたらまずは早期にご受診ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME